海外向け寿司テイクアウト店ロゴ制作の考え方

今回ご紹介するのは、
オーストラリア・メルボルンでオープン予定の寿司テイクアウト専門店
「Nami-Nori(波海苔)」様 のロゴ制作についてです。

本記事では、完成したロゴの見た目そのものよりも、
どのような前提整理と判断を経て、この形に至ったのか を中心にまとめています。

ご依頼の背景と使用シーンの整理

クライアント様は、
海外(オーストラリア)で寿司のテイクアウト専門店を新規オープンされるにあたり、

  • 看板
  • 壁面
  • 窓ガラス
  • ステッカー

など、店舗の顔となる複数の媒体で共通して使えるロゴ を必要とされていました。

特に今回は、

  • 白ベース
  • 黒の縁取り
  • ステッカー展開を前提としたシンプルな配色

という、実際の運用を強く意識した条件 が最初から共有されていました。

店名に込められた意味

店名である Nami-Nori は、

  • サーフィンの「波乗り」
  • 寿司に使われる「海苔」

この2つを掛け合わせた言葉です。

また、
寿司にとって最も重要な要素である 「お米」と「海苔」 を軸にしながら、
クライアント様ご自身の趣味であるサーフィンの要素を重ねる、
という明確なストーリーがありました。

そのため、
単なる和風ロゴではなく、
意味を整理した上で記号化すること が重要な前提となっています。

モチーフを「イラスト」ではなく「記号」として整理

ご要望として、

  • 米粒
  • 波模様

を組み合わせたイラストロゴのイメージは提示されていましたが、
そのまま描写的に表現すると、

  • サイズを縮小したときに潰れる
  • ステッカーや窓貼りで使いづらい
  • 国や文化が変わると意味が伝わりにくい

といった問題が生じます。

そこで本件では、
米・海苔・波 という要素を「描く」のではなく、
一目で認識できる記号として整理すること を優先しました。

単色(白黒)前提で設計した理由

今回のロゴは、

  • 白地に黒
  • 黒地に白

どちらでも成立する 単色前提の構造 で設計しています。

これは、

  • ステッカー制作
  • ガラス面への施工
  • 看板や壁面での使用

といった、実務的な使用シーンを考えると、
最も再現性が高く、トラブルが少ないためです。

色数を増やさず、
形そのものが記憶に残る構造 を目指しています。

海外でも伝わる「柔らかさ」と「日本らしさ」のバランス

海外向け店舗という点を踏まえ、

  • 和風に寄せすぎない
  • しかし日本由来であることは伝わる

というバランスを意識しました。

線の太さや曲線の扱いを調整し、
「強すぎない」「怖くならない」
柔らかさのある輪郭 を意識しています。

まとめ|文化が違っても伝わるロゴを目指して

今回のロゴ制作で目指したのは、
「日本っぽさを強調すること」ではなく、

意味を整理し、文化が違っても直感的に伝わる形にすること でした。

ロゴが多くを説明しなくても、

  • 看板
  • ステッカー
  • 店舗写真

の中で自然に機能し、
ブランドとして認識される状態をゴールとしています。