建設業ロゴ制作の考え方|法人化を前提にした記号の整理

今回ご紹介するのは、建設業を営む「株式会社海老原建設」様のロゴ制作についてです。

本記事では、完成したロゴの見た目そのものよりも、法人化という節目において、どのような前提整理と判断を行ったかを中心にまとめています。

ご依頼の背景と法人化の前提整理

今回のご依頼は、個人事業から法人化するタイミングでのロゴ制作でした。

主な使用用途は以下になります。

・名刺
・ヘルメット
・道具類

これらは単なる仕様ではなく、ロゴが機能する場面を具体的に想定した情報です。

とくに建設会社は、地域密着の信用や安心感が評価を分ける業種でもあるため、見る人が一目で事業内容や企業姿勢を感じ取れるロゴであることが求められています。

鳶職としての「規律」と、法人としての「信頼」を形にする

業種は建設業の中でも鳶職にあたります。

鳶職は、現場の安全性と正確さを司る建設業の要です。

高所作業という緊張感の中で求められるのは、一瞬で状況を把握できる明快さと、何年経っても揺るがない信頼の蓄積です。

本設計では、流行を追った装飾はあえて排除しました。

個人名義ではなく「法人」としての重み、そして企業としての継続性を象徴するため、記号として安定し、どの媒体でも同じ顔を保てることを最優先しています。

現場環境を想定した「実用的なシンボル」

建設現場という、実用性と視認性が何よりも優先される環境において、ロゴは常に明確な記号であるべきです。

遠方からの確認や、屋外の天候、あるいは作業に伴う摩耗など、ロゴを取り巻く状況がどれほど変化しても、「どの会社のロゴか」が一目で判別できること。

そのタフな再現性を、本設計の最重要条件としています。

そのため、細かな装飾や色数に頼るのではなく、形そのものが持つ「認識の強さ」を追求しました。

円形ベースの採用:曲面への馴染み

伝統的な家紋の安定感を演出しつつ、ヘルメットや工具などの曲面にも馴染む形状を追求しました。

モチーフの図形化:二重の読み取り

社名の「海」を文字としてだけでなく「図形」として整理。近くでは文字として読め、離れた場所からは力強いシンボルとして機能する二重の読み取りを可能にしました。

静と動のバランス鳶の力強さ

安定した円の中に、鳶職特有の「切れ」や「力の流れ」を含ませ、現場の緊張感が漂う構成を目指しました。

現場で使い込まれ、多少の摩耗が生じても決して埋もれない。

そんな強さを、このロゴの核としています。

単色・黒を基調とした表現について

配色は、現場での実用性と、将来的な展開コストを考慮し「単色・黒」を基調としました。

これは、鳶職という「規律」と「力強さ」が求められる業種において、最も誠実な配色であると考えたからです。

塗装、印刷、あるいはスマートフォンの画面。

どのような環境であっても、形そのものの力が損なわれることはありません。

「いつ、どこで見ても一目でその会社だと分かる」

その普遍的な再現性こそが、ロゴに求められる真の機能です。

装飾としての色を捨て、構造そのもので語るデザインに仕上げることで、時間の経過とともに深まる信頼の蓄積を表現しています。

まとめ|目指したのは「現場で機能する記号」

今回のロゴ制作では、鳶職という現場の最前線から、名刺やSNSといったデジタルな接点まで、あらゆる場面で「同じ信頼感」を届けることをゴールとしました。

ヘルメットや工具といった過酷な環境でも埋もれず、名刺やアイコンといった小さなスペースでも品格を保つ。

この「タフな汎用性」こそが、信頼を象徴する力強いアイコンとしての役割を担っていくものと考えています。