今回ご紹介するのは、食品ブランド「鴨田屋」様のロゴ制作についてです。
本記事では、完成したロゴそのものよりも、どのような前提整理と判断を経てこの形に至ったのかを中心にまとめています。
ご依頼の背景とブランドの前提整理
「鴨田屋」様は、新規立ち上げの食品ブランドです。
既存の商品やロゴはなく、主な販売チャネルは Amazon などのECが想定されていました。
取り扱い予定の商品は、ナッツ、製菓材料、ドリンク、レトルト食品、お菓子など幅広く、いずれも パッケージにロゴを大きく載せる前提 での展開が想定されていました。
また、ブランドイメージとしては、
- 老舗の和食関連食品
- 紺色を基調とした落ち着いた印象
- 太めで安定感のある明朝体系
- マスコットとして「鴨(カモ)」を使用
といった方向性が、初期段階から比較的明確に共有されていました。
クライアント要望から読み取った重要なポイント
ご要望を整理する中で、特に重視したのは、
「パッケージに載せたときに、一目でブランドとして認識できること」 でした。
単にロゴ単体として美しいかどうかではなく、
- 商品写真の中でも埋もれない
- 小さく表示されても印象が残る
- 見た瞬間に「そのブランドだ」と分かる
といった、実際の販売シーンを前提とした視点が求められていました。
そのため、本件では
装飾を増やす方向ではなく、構造を整理し、印象が残る形にまとめることを軸としています。
ロゴを“パッケージ前提”で設計した理由
今回のロゴ制作では、
ロゴ単体で完成させるのではなく、商品パッケージに載った状態を基準にしています。
ECでは商品が、
- スマートフォンの小さな画面
- 一覧表示のサムネイル
で見られるケースが多く、
細い線や情報量の多い構成は認識されにくくなります。
そこで、
- 線の太さ
- 形のまとまり
- 遠目でも分かるシルエット
といった要素を優先し、
実際の使用環境に耐える視認性を確保しています。
モチーフとして「円形」を選んだ理由
枠の形状については、
「単純な○や□では印象に残りにくい」という前提がありました。
そこでベースは円形としつつ、
- 枠の太さに抑揚をつける
- 一部に切れや間を設ける
- 全体として“和の家紋”を思わせる安定感を持たせる
といった調整を行っています。
単なる図形ではなく、
記号として記憶に残る構造になることを意識しています。
「鴨」と「鴨田屋」両方で使える設計
本ロゴは、
- 「鴨田屋」というフルネーム
- 「鴨」の文字を中心としたシンボル
どちらでも使える構成としています。
商品数の増加や、
パッケージサイズ・用途の違いにも対応できるよう、
単体でも成立する形に整理しています。
色・書体を「老舗らしさ」に寄せた考え方
配色は、老舗の和食関連食品を想起させる紺色を基調としています。
ただし、
- 高級すぎる
- 敷居が高く見える
といった印象にならないよう、
日常使いできる食品ブランドとしてのバランスを重視しました。
書体についても、
細く繊細にしすぎず、太めで安定感のある明朝系のニュアンスを採用しています。
完成ロゴとパッケージ使用イメージ
完成したロゴは、
ロゴ単体でも、パッケージに載せた状態でも、
視認性と存在感を保てる構成になっています。
EC画面や商品写真の中でも、
ブランドとしての統一感が崩れないことを確認しています。
まとめ|ロゴで目指したのは「説明しなくて伝わること」
今回のロゴ制作で目指したのは、
「老舗風に見せること」ではなく、
老舗らしさを要素として整理し、自然に伝わる形にすることでした。
ロゴ自体が多くを語らなくても、
商品やパッケージと並んだときに違和感なく認識される。
その状態をゴールとしています。
