重いけど重すぎない『スリー・ビルボード』の感想




ネタバレ含みますのでご注意ください。
久し振りに、心を揺さぶる映画に出会えたという印象。

 

評価が高いことから期待して観始め、評判通りグイグイとストーリーに引き込まれていきました。

 

感想は面白かったけど、とても重い作品だった。

 

署長が残した、各人に宛てた手紙によって、心の中の氷が溶かされていくというプロセスが、とてもよく感じられた。

 

やっぱり、最終的には『愛』なんだとわかります。
怒りは、また新しい怒りを生む。

 

ミルドレッドとディクソンは、無駄だとわかっているが、やり場のない抑えきれない気持ちから、ラストは微妙な選択をして終わっている。

 

このラストに関しては、それぞれ観た人の捉え方によって、分かれますね。
私は近くまで行くけど、引き返したと思います。

 

そんな『スリー・ビルボード』のあらすじと感想をご紹介します。

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あらすじ

予告動画はこちらになります。 ↓ ↓ ↓ ↓

ミズーリ州の郊外にある架空の街エビングが舞台。

 

ミルドレッド(フランシス・マクドーマンド)は、道に迷ったか変わり者以外は通らないとされている、ある道路に停まり、3枚の錆びついた立て看板を目にして覚悟の表情を見せる。

 

その後、直接立て看板の広告会社へ足を運び、広告を出したいと1ヶ月分の契約金5000ドルを社長のレッド(ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ)に払う。

 

困ったレッドではありましたが、広告の事を聞かされて、目の前の女性がアンジェラ(キャスリン・ニュートン)の母親だと判って契約を交わします。

 

アンジェラは、この街で強姦された後、酷い殺され方をされた少女だった。

 

ミルドレッドは、7ヶ月間捜査が進展せず、不甲斐ない警察に苛立ち、その不満を広告看板に叩きつける強行に出ます。

 

ミルドレッドは車で、息子のロビー(ルーカス・ヘッジズ)を助手席に乗せ、広告看板がある道路の前を通ります。

 

真っ赤な色を背景として、黒の大きな文字だけの看板はインパクト大。

 

3つの看板はそれぞれ警察に対する挑戦ともとれるメッセージでした。
この3枚の看板によって、エビングの街は大きな反響を引き起こすことになります。

 

名前が書いてあったウィロビー署長(ウッディ・ハレルソン)は末期のがんであったことから、周囲は同情を寄せている。

 

部下のディクソン保安官(サム・ロックウェル)をはじめとして、エビング署の警察官らはミルドレッドに脅します。

 

息子のロビーは学校で軽侮されるなどされ、街の住民たちからもミルドレッド一家に対し揺さぶり注意するのでした。

 

ある日、ミルドレッドはレッドから、1ヶ月目の広告費の支払いが遅れていることを知らされます。
レッドは、先日支払った5000ドルは前金であったといいます。

 

ミルドレッドが戸惑っているちょうどその時、事務所宛に匿名の5000ドルが届けられます。
送り主はミルドレッドと同様に警察を憎んでいる人からの支援だった。

 

そのため広告を維持させることはできたのですが、警察に対する睨みは更にエスカレートします。

 

聞く耳を持たないミルドレッドに、頭にきたディクソンは、母親によるアイディアで、ミルドレッドの友人デニスをマリファナ所有していた罪として逮捕した。

 

離婚した元旦那で、現在は若い女と生活しているチャーリー(ジョン・ホークス)までもが、ミルドレッドを非難します。

 

ウィロビー署長は家族みんなで、貴重な休日を楽しんだ。
妻と子供を眠りにつくのを確認し、馬小屋へ行き、拳銃を頭にあて自殺をしてしまう。

 

妻に宛てた手紙には、ガンによる死期を察して自ら死を選んだことが書き記されていた。

 

上司の死を知ったディクソンは頭に血が上り、レッドの事務所へ押しかけ、ボコボコにした後、なんと2階の窓からたたき落とし、大ケガを負わせます。

 

この状況を全て見ていた、新任の署長は、ディクソンを解雇します。
そして、ディクソンはより一層ミルドレッドを憎むこととなる。

 

ある日、ミルドレッドが仕事をしている土産物屋に彼女に絡んでくる男がやってきます。

 

彼女を力で封じ込めようとしたとき、ウィロビー署長の妻アンの訪問で難を逃れます。
アンはウィロビー署長がミルドレッドに宛てた手紙を渡す目的で訪れた。

 

手紙には、アンジェラを強姦した犯人を捕まえることができなかった謝罪と広告看板をだしたアイディアはよかったこと。

 

そして、その気持ちを持続してもらいたいことから、広告費を誰にも知られることなく1ヶ月分支払ったことが書き記されていた。

 

しかし、その一方で周りのミルドレッドに対しての嫌がらせは収まらない。
ついに何者かのしわざによって、3つの看板は全て燃やされてしまう。

 

ディクソンが犯人だと睨んだミルドレッドは、夜の警察署に火炎瓶を投げつけ放火します。
ところが誰もいないと思っていた警察署の中にディクソンがいたのです。

 

燃えさかる炎の中に飛び込み大火傷を負うが、偶然居合わせたミルドレッドの友人によって救われる。

 

また友人がミルドレッドをかばったことによって、罪に問われることはなかった。
ウィロビー署長はディクソンに対しても手紙を宛てていた。

 

刑事になる夢を達成させるために横柄な振る舞いを直し立派な警官に成長してほしいと。

 

手紙を読んだディクソンは心を入れ替え、アンジェラ殺しの事件に本腰を入れて動きだします。

 

そんな中、ディクソンがバーで飲んでいると隣の席の男が友人と交わした「女を犯した」を耳にしてディクソンは話の内容からして、この男がアンジェラ殺しの犯人と確信する。

 

裏付けを取る為に彼らが運転してきた車のナンバープレートをメモした後、男に絡んでケンカをし、顔に殴られた血の一部取りDNAを採取することに成功。

 

ディクソンは、ミルドレッドに連絡し「犯人の男が見つかった」と知らせます。
しかし、結局のところDNAは一致しなかった。

 

この男には完全なアリバイがあり、犯行当時、軍に所属していて別の国にいたことが判明する。

 

ミルドレッドはディクソンに対し、希望を持つことができたことに感謝します。
でも、この男は犯人じゃなかったけど、女性を強姦したことにはかわりがない。

 

ミルドレッドとディクソンは、そのことにやり場のない怒りを感じ、男の住むアイダホへと向かう。

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怒りは怒りの感情を引き寄せる

ミルドレッドは怒りの気持ちに加えて、彼女を長きにわたり突き動かしていたのは、大きな喪失感や後悔によって、悲しみからの救いを求め、もがき苦しんでいる心の現れであると感じる。

 

そのような悲しみや憎みといった負の感情が、レストランで偶然会った元亭主にからかわれたことによって、一触即発の状態に陥る。

 

しかし、殴ろうと所持していた瓶を置かせたのは、年の離れた元亭主の恋人。

 

純粋無垢で警戒心も備えていないが、何処かいいようもない力強さを秘めている彼女にミルドレッドが面と向かって向かい合った時、彼女に対して何を考えたのか色々と考えてしまう。

 

例えば、彼女の姿に亡き娘を重ねてしまったのか。

 

または、元亭主が歳の離れた彼女に娘を重ね合わせている姿を想像して、哀れみを感じたのか。

 

あるいは、まったく関係のない彼女に負の感情を引き寄せてはいけないと思ったのか。

 

ミルドレッドの中では、間違いなくハッキリと心が動いた瞬間であり、私も一緒に心が揺さぶられた。

 

後、看板が燃えているシーンも印象的だった。

 

ミルドレッドが、必死に消そうとしている姿が、自らの助けを求めるサイン、あるいは自分や世間に対して「娘がここに居たのだ」と訴える方法を死に物狂いで守っているように感じ、とても痛々しかったですね。

人は誰でも表と裏がある

ミズーリ州の片田舎が舞台。

 

となり近所の話は筒抜け状態、デートに行ったら同じレストランで鉢合わせなんてことが、当たり前の土地柄。

 

絶対権力を持っては駄目な人物が、警官になっている雰囲気の極めて狭い街で、娘が亡くなったのに犯人を捕まえることすらできない彼らの無能さを表わす3つの広告は充分効果があった。

 

ミルドレッドがストレスを吐き出した事によって、溜まりに溜まった街全体の膿が次々出されていく。

 

ミルドレッドと娘との関係は、車を貸さなかった場面から、多分相性が合わなかったのだろうと推測ができる。

 

逆に息子の方を可愛がっていたに違い無い。

 

しかし、娘が亡くなってからもずっと彼女は娘を愛し続け、身の危険が及ぶまで広告の火を消し、頻繁に通っては花を活けたりする。

 

警官を解雇されて、「ざまぁみろ!」と思えるディクソンも、母親に対する想いは、ホンモノだし、ミルドレッドが警察署に放火した犯人で火傷を負わされながらも、ミルドレッドと一緒に、使命感に燃える。

 

窓から突き落とされたレッドも、姑息でお金で判断する嫌な男だけど、火傷によって包帯をぐるぐる巻にされたディクソンに、オレンジジュースをストローに付けて渡したりする。

 

1ヶ月分の広告代を出してくれたビルもそうだけど、人は誰でも見かたを変えれば、良い面と悪い面がある。

 

人間もコインのように表と裏があって存在する。

 

色々な出来事を表しか理解できない、そんな人になっていないかと考えさせられる作品ですね。

まとめ

コーエン兄弟が監督した「ファーゴ」では、身ごもった体というのに勇敢に、事件に立ち向かう警官を好演したフランシス・マクドーマンド。

 

『スリー・ビルボード』では一転して、娘を殺害された母親役を見事に演じています。

 

『ファーゴ』に続いて、2度目のアカデミー主演女優賞も納得です。

 

フランシス・マクドーマンド主演『ファーゴ』の感想

2018.02.13

 

『スリー・ビルボード』は『ファーゴ』と作風が似ていることから、どうしても比較してしまいますね。

 

何故なら、どちらも田舎の街が舞台で、登場人物がみんな悪人とも善人とも言い切れず、
憎めないキャラクターであるというところです。

 

『スリー・ビルボード』のベースにあるのは、事件における被害者遺族の心の葛藤、閉鎖感漂う田舎の警察、根深い人種差別に始まる重いものですが、時折見せるコメディ要素が、バランスよくストーリーが展開していく。

 

ラストをどう捉えるかによって評価が分かれるけど、ストレスなく鑑賞が出来るのでおススメです。

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