フランシス・マクドーマンド主演『ファーゴ』の感想




ネタバレ含みますのでご注意ください。
クライムサスペンスものなんだけど、あっと驚くどんでん返しや派手なアクションがあるわけではなく、映画は淡々と始まって終わる。

 

内容は陰惨で悲惨な事件の筈なのに、登場人物たちのゆるくマッタリとした感じが観ている側も力も抜けてくる雰囲気。

 

実に不思議な映画ですね。
オープニングのクレジットで表記される「これはノンフィクションです」

 

実はこれ、演出とのこと。
確かに始めにこのような表記があると見入ってしまう。
見せ方が上手いです。

 

コーエン兄弟の映画は本作が初めてで、すっかり魅了されました。
そんな『ファーゴ』のあらすじと感想をご紹介します。

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あらすじ

予告動画はこちらになります。 ↓ ↓ ↓ ↓


1987年、ミネソタ州ミネアポリスが物語の舞台。
ミネソタ州ミネアポリス

 

自動車販売会社の営業部長ジェリー・ランディガード(ウイリアム・H・メイシー)は、職場の同僚で整備士のシェプの紹介で、カール・ショウォルター(スティーヴ・ブシェミ)とゲア・グリムスラッド(ピーター・ストーメア)という二人のチンピラと酒場で落ち合う。

 

ジェリーは金銭トラブルがあり、直接お金を借りることが出来ない為自分の奥さんをこの二人に誘拐させて、身代金を義父に取り立てる計画を企てる。

 

仕事の報酬として、販売会社にある新車のシエラを渡す。
カールとゲアは、ジェリーの妻ジーンを誘拐。

 

車にナンバープレートを付けていないことから、パトカーに呼び止められ、職務質問をされるが、後部座席のジーンの声に気づいた警官に対し、ゲアが拳銃で殺してしまう。

 

さらに彼らの凶行を通りすがりの車も後を追って、目撃者も殺害。
明け方、女署長のマージ・ガンダーソン(フランシス・マクドーマンド)の自宅に殺人事件の連絡が入る。

 

彼女は妊婦であるため、夫のノームに朝食を作ってもらい、マージは現場へと向かう。
現場検証を行ったマージは、足跡から判断して二人組の犯行と断定する。

 

殺害された警官のパトロールメモから、犯人は茶色のシエラを使用し、『DLR』と記載してあったことからディーラーの車であると情報を得る。

 

ジェリーはジーンが誘拐され、身代金100万ドルを要求されたことを義父に相談する。
話し合いの結果、義父から100万ドルを出してもらうことになる。

 

聞き込みで二人組の男が、ブルー・オックスにて、ノープレートのシエラを運転していた情報が入る。

 

マージは目撃者の女性と会い、彼らがミネアポリスに行った事を聞きつける

 

モーテルからミネアポリスに電話したのが、シェプの家であることを突き止めた。
マージはシェプの勤務先である、ジェリーの販売店に行き、聞き込みをする。

 

最初、シェプはミネアポリスからの電話に関して否定するが、彼は仮出所中であり、電話の相手が犯罪者であった場合、接触すれば仮出所規定で刑務所に逆戻りすると脅す。

 

マージはジェリーを尋ね、車の盗難被害がないか訊いてみたが、彼の言動に不信感を持つ。
カールはシェプに痛めつけられた腹いせに、ジェリーに対し30分後、屋上駐車場に金を用意するよう要求する。

 

義父は、ジェリーでは頼りないことから、自ら身代金を持って誘拐犯と直接交渉しようと出かける。

 

カールは待ち合わせ場所に現れた義父を見て、約束と違うと怒り狂う。

 

義父はジーンの安否が確認されなければ、身代金を渡さないといい、カールは義父を射殺し、金を奪う。

 

ジェリーは、身代金の引渡しの場所に駆けつけ、死んでいる義父を車のトランクに積み込んで立ち去る。

 

カールは義父から奪った100万ドルを目にし、独り占めしようと8万ドルだけ抜いて、残りのお金が入ったブリーフケースを雪の中に埋め、アジトに戻る。

 

人質のジーンは、ゲアによってすでに殺されていた。
8万ドルを山分けしようとゲアに持ち掛けるカールだが、口論になり、ゲアに斧で殺されてしまう。

 

マージはブレーナードに戻る前に、ジェリーの職場に向かう。
犯人はシェプと何らかの関係があると睨んだマージはジェリーに詰め寄り、再度車が盗まれていないか問い詰める。

 

ジェリーは在庫チェックをするフリをして、車に乗って逃走。
マージは、逃走したジェリーの捜索を指示する。

 

マージは警察にジェリーの義父の計理士からジーンが誘拐された通報があった事を知る。
情報により近隣を捜索するマージ。

 

捜索中に茶色のシエラを発見し、犯人たちのアジトを発見する。
アジトに近づきマージが見た光景は、カールの死体をそこでマージが見たものは、カールの死体を木材の破砕機を使って木っ端微塵にしているゲアの姿だった。

 

逃げるゲアに対して、マージは足を撃ち抜き捕獲する。
マージは、逃げようとするゲアの足を撃ち抜き確保に成功する。
逃走したジェリーもその後、郊外のモーテルに潜んでいたところ逮捕される。

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フランシス・マクドーマンドの演技は存在感があります!!

フランシス・マクドーマンド演じるマージは、妊娠8ヶ月の妊婦の署長。
しゃべり方のトーンが独特で、訛りがきついのが、英語がわからなくても伝わってきます。

 

夫婦仲も良く同僚からも慕われ、現場を冷静に俯瞰して犯人を推理する、非常に頭が切れる女性。
彼女はいたって特別なことはしていない。

 

現場検証を丁寧に行い、聞き込みで得た情報をもとに捜査を進めていく。
彼女がいるだけで、陰惨な話も和んで見ることが出来る。

 

特に印象に残ったのが、本編では直接関係ないけど、名前もろくに覚えていないレベルのヤナギタという元同級生とのやりとり。

 

夜遅く突然、親しげに電話してきて、会う約束を強引にし、再会すると隣に座ろうとすることに不快を感じ気まずくなるが相手を傷つけないように対応するマージの人間性が現われていて好きなシーンです。

 

後、何と言っても、ラストシーンの演技がいいです。
彼女の旦那は売れない画家で、彼の描いた絵が3セント切手に選ばれ、二人でベッドの上で静かに心から喜びあうやりとりは秀逸、

 

この、プライベートでは旦那とラブラブな夫婦関係を満喫している反面、仕事では警察官であるが故の鋭い視線で淡々と捜査を続ける対比が、うまく演じ分けています。

 

さすが、本作でアカデミー主演女優賞を受賞しただけあって、存在感がありますね。

そんな、彼女の最新作『スリービルボード』も、アカデミー主演女優賞候補とあって、注目されています。

 

娘を殺害され、復讐の邪魔をするものは情け容赦ない、常軌を逸した母親ミルドレッドを熱演。

 

まだ、本作は未見ですが、内容もメッセージ性の高い作品なので、ぜひ観たいですね。
予告動画はこちらになります。 ↓ ↓ ↓ ↓

ジェリーのクズっぷりが哀れ

事件の発端は、ウィリアム・H・メイシー演じるジェリーが、妻の誘拐をチンピラに依頼し、その身代金を着服しようと企てる。

 

ジェリーは、旦那思いの妻、年頃で少し反抗期だけど素直な息子と三人で幸せに暮らしている。
彼の境遇は羨ましい限り。

 

義父の会社にコネで入社し、営業部長であるけど、彼の実力ではない。
社長令嬢である妻ジーンを射止め逆玉の輿に乗れた幸運の持ち主なだけ。

 

彼の仕事は行き当たりばったりで、現に顧客と契約内容でトラブルになり、なんとかしようと誤魔化そうとするヘタレです。

 

そんな彼が、自分の私利私欲の為だけに大金が必要になり、妻の誘拐を企て、その身代金を着服しようとする計画はずさんで詰めが甘い。

 

誘拐をする人選も最悪。
酒場で初めてのチンピラ二人との打ち合わせからして、もう話が噛み合わず失敗の匂いがプンプンします

 

自分の会社の商品を偽装工作もなしに犯罪に利用させるなど、いくら自分の才覚でやり繰り出来るといっても話にならない。

 

リスクマネジメントも想定しないで、犯罪者に自分の妻を預けることを平気ですることが、もう頭が悪い以前に人間性を疑う。

 

このどうしようもないダメ男が、義父に対して詐欺を働こうとしたが、ちょっとしたミスが原因で殺人を引き起こし、事件はどんどん取り返しがつかない方向に進んでいってしまう。

 

妻そして義父をも死に陥れることになってしまった皮肉な事件を通して、人間の醜さがよく描かれています。

ストーリーが解りやすく秀逸

ストーリーが解りやすく,どんどん引き込まれていく。
狂言誘拐を企てるものの、予定通りに事が進まず、次から次へと殺人事件に発展し、結末は取り返しのつかなくなって身を滅ぼす怖い話。

 

まず、本作に登場する人物が、どこにでも居そうな人たちという設定は親近感があって感情移入できる。

 

ちょっとしたきっかけで、人生の歯車がずれて、奈落の底に突き落とされる。
現実に起こりうるリアル感が凄い。

 

後先を考えずに行動する、その場しのぎで生活する人々を皮肉ったシニカルなサスペンス。窮地に追い込まれた人間の弱さが、鮮明に描かれ息苦しくもあります。

 

次々と降りかかる負の連鎖は、運命のドミノ倒しのよう。
ここまでいかなくても、八方塞がりになり、どうしようもない状況に追い込まれ、犯罪で生活費を稼ごうとする人もいるのも事実。

 

そう考えると深い映画ですね。

まとめ

ブラックユーモアが満載で、破滅型のサスペンスドラマとしては王道を行く傑作。
過剰な演出がなく、時折挟まれる他愛も無い会話があることから、まったりとしているけど、実は真綿で首をしめられて逃れられない、というようなテンションで満ちています。

 

ごく普通の人間が犯したちょっとした出来事が、人生が狂っていく姿は、一寸先は見えないとよく言われるけど、人の想像力の欠如こそが悲劇のもとのように思えた。

 

凄惨な内容にもかかわらず鑑賞後の爽やかさ。

 

それは、なんと言っても個性的な俳優陣と恐怖感覚に陥るのを緩和し飽きさせないようにしたコーエン兄弟の才能には驚くよりほかない。

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