宮崎駿初監督『ルパン三世/カリオストロの城』感想




ネタバレ含みますのでご注意ください。
何度観ても面白い。

 

ひたすら観客を楽しませてやろうという宮崎駿監督の心意気が伝わってきます。
冒険に恋に友情と色々な要素てんこ盛りで、ガッツリとこの一本に詰まっている。

 

笑えて泣けます。
その後の日本のアニメに与えた影響は計り知れない。
個人的には、宮崎監督の中で、最高傑作。

 

ルパンを始めとした個性ゆたかなキャラクターの演出は、抜群。
ルパンファンでも、まだルパンを一度も見たことが無いという人であっても十分に楽しむことが出来る。
エンディングは感涙必至!

 

この『カリ城』が無ければ、良くも悪くも、今の日本アニメの繁栄は無かったはず。
そう断言出来るくらい珠玉の作品です。

 

そんな『ルパン三世 カリオストロの城』のネタバレ感想をご紹介します。

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『ルパン三世/カリオストロの城』あらすじ

予告動画はこちらになります。 ↓ ↓ ↓ ↓


カジノから盗んだ札束が、実は偽札。
あまりの精巧さに、本物以上といわれるゴート札だった。

 

ルパンはゴート札を作っているカリオストロ公国に好奇心から潜入する。
ルパンと次元の前に、ウエディング姿で車を運転する美少女に対して、追いかけてくる車に出くわす。

 

カーチェイスに介入して、ウエディング姿の美少女・クラリスを助ける。
しかし、クラリスは別の追手によって連れ去られてしまう。

 

クラリスがしていた青い指輪が残されていた。
その指輪を見たルパンは、かつてカリオストロ公国に潜入した若い頃の記憶を思い出す。

 

そこで生命の危機に瀕したところ助けてくれた子供であることに気づく。
クラリスは、火事で亡くなった大公家に残され最後の娘である。

 

近々に、公国の宰相であるカリオストロ伯爵と婚礼を挙げることになっている。
その夜、ルパンたちは指輪を取り戻すために、伯爵が放った暗殺団に襲われるが、間一髪、脱出した。

 

カリオストロの城へ潜入するため、ルパンは五ェ門と銭形警部までも来るようにおびき寄せた。
城内に潜り込むことに成功したルパンは、塔に幽閉されたクラリスと再会し救出しようと試みるが、伯爵によって地下に落とされる。

 

そこには、先に落とされた銭形がいた。
やがて二人は、ゴート札の印刷工場を発見し、再度クラリス救出の為に、銭形と手を組み、脱出をはかる。

 

先に潜入していた不二子が、クラリスに別れの挨拶に出向いたところ、ルパンと会い、不二子はクラリスの救出を手伝う。

 

だが、オートジャイロで脱出しようとした瞬間、伯爵の部下による銃弾が、ルパンの体を貫いた。
ルパンを逃がすために、伯爵の元に戻るクラリス。

 

銭形は伯爵の犯罪をICPOに掛け合うが、各国に影響力を持っている伯爵は、根回しをして銭形を出動できないよう圧力をかけた。

 

そして、婚礼の日、司祭に変装したルパンは、クラリス奪回に成功する。
一方の銭形は、ルパンを追跡するフリをして、伯爵の地下工場の全容をTV中継して放送する。

 

伯爵の真の目的は、公国に隠されている財宝だった。
ルパンはクラリスの身の安全を引き換えに、財宝の秘密を教える。

 

欲に目がくらんだ伯爵は、財宝とクラリス両方を手に入れようとして、仕掛けに巻き込まれ、命を落とす。

 

やがて湖の中から財宝が現れた。
それは、ギリシャの遺跡だった。

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『ルパン三世/カリオストロの城』感想①:緑ジャケット

年代によって、『ルパン三世』の受けとめ方は様々。
私にとってのルパンといえば、やはりTVシリーズの第一作。

 

いわゆる旧ルパンとこの『カリ城』のルパンです。
旧ルパンは前半と後半で作風のカラーが違いますが、それを踏まえてです。

 

さて、『カリ城』ですが、今まで宮崎駿監督が、東映動画から始まった仕事の集大成的な位置づけにあたる作品。

 

作画監督の大塚康生さんとのコンビもうれしい限り。
ルパン、次元、五ヱ門、銭形の服装が、旧ルパン仕様になっているところが嬉しい。

 

大塚さんの描くルパンでないと、本当のルパンでないと改めて感じます。
宮崎監督は、旧ルパンで手掛けたエピソードを『カリ城』に散りばめられている。

 

『カリ城』全体のストーリーが、父親が泥棒であったことを知らない娘をルパンが悪者になって、父親の泥棒仲間の魔の手から救い出す第21話『じゃじゃ馬娘を救い出せ!』に似ていることは明らか。

 

また、贋金作りの一味と渡り合う第10話『ニセ札づくりを狙え』も似ていますね。
後、カリオストロ伯爵が死を迎えた直後に鳴る時計塔の鐘の音は、11話『七番目の橋が落ちるとき』に登場する鐘の音が同じです。

『ルパン三世 カリオストロの城』感想②:モーリス・ルブランのリスペクト

『カリ城』の魅力として、モーリス・ルブランの『アルセーヌ・ルパン』シリーズを彷彿させる格調の高さです。

 

私は小学生の時に、ルブランのルパンにはまり、むさぶるように読んだものです。
宮崎監督も述べているが、全体のヒントは『緑の目の令嬢』を参考にされたとのこと。

 

実は他にも『カリ城』に使われたと思う部分があります。
この作品に登場する、クラリスやカリオストロといった名前は、『カリオストロ伯爵婦人』の中に登場します。

 

カリオストロ伯爵という名前は、フランスで実際に存在した人物で、カリオストロ伯爵婦人の父親となっている。

 

クラリスは、ルパンが結婚した妻の名前です。
そのような名前を採用したことから、宮崎監督が意識していたことが伺われる。

 

その為、『カリ城』のルパンは騎士道精神にあふれ、男が憧れる要素を兼ね備え、カッコイイ。

『ルパン三世/カリオストロの城』感想③:名作なのにコケた

今でこそ、宮崎駿初監督にして、最高傑作と誉れ高い『カリ城』だけど、配収が約3.05億と失敗に終わった。

 

この為、宮崎監督は、数年間力を養いながら、活躍する機会をじっと待つことを余儀なくされる。

 

その不遇の時期に、宮崎監督に手を差し伸べ、活躍の場を提供したのが、徳間書店の『アニメージュ』編集長で、現在、スタジオジブリのプロデューサーである鈴木敏夫さんであったことは有名な話。

 

ところで、『カリ城』と同時期に公開されていた映画とは、どんなものだったのか。
最大のライバルは、22億の配収を上げた『007/ムーンレイカー』だった。

 

この79年は、77年に公開された『スター・ウォーズ』の大ヒットにより、SFブームが続く渦中にあり、夏には『エイリアン』も公開されている。

 

流行のSF趣向を取り入れて展開する『ムーンレイカー』の荒唐無稽なストーリーは、『カリ城』よりも『ルパン』的なお遊び精神が満載で、大ヒットした。

 

他の映画は、『マッドマックス』が10億円の配収でスマッシュヒット。
邦画では、角川映画『戦国自衛隊』が、13億円の配収と大健闘した。
他に同じアニメで『がんばれ!タブチくん』が公開されている。

『ルパン三世/カリオストロの城』感想④:ルパンがルパンでないといわれる理由

もう散々語りつくされたきた話ですけど、ファンである私の感想です。

原作との相違

モンキーパンチ先生のルパンは、掲載されていた雑誌が『週刊漫画アクション』と青年誌にあたることから、ルパンのキャラクター設定は、女性にだらしなく、自分の身に危険が生じれば、愛する女性がそばにいようとも、助けることはせず、平気で逃げてしまう。

 

決して、他人の為に自己犠牲をするような男ではなく、クールでドライなイメージです。
だから、ルパンが身を挺して、悪者から少女を救う行動は、「ルパンであって、ルパンで無い」と作者が言ったことが、大きな理由になります。

 

原作は、独特の語り口、画風が非常に読みづらいことから、好みがはっきりわかれる。
私は、ストーリーもわかりやすいことからアニメの方が好きですね。

 

原作の素材を活かした第一シリーズは、メインとなる視聴者層が、小学校高学年を想定してスタート。

 

犯罪者を退廃的に描くドライな作風は、さすがに大人すぎたことから、親たちが意識的に子供に見せまいとしたことも考えられる。

 

初回6%、その後も3%台と低い視聴率になっていることから、演出家の大隅正秋さんとTV局、スポンサー、アニメを制作した東京ムービー社長・藤田豊さんと意見が衝突し、3話を放映した時点で交代となる。
出典元:https://ja.wikipedia.org/wiki/ルパン三世_カリオストロの城

 

そこで、作画監督の大塚康生さんは、東映動画で一緒に仕事をした高畑勲さんと宮崎駿さんに演出を依頼した。

 

大隅正秋が降板した時点で、ほとんど完成した話や、部分的に脚本を変えたりして、完全に宮崎・高畑コンビの演出に変わったのは、第13話『タイムマシンに気をつけろ!』から。

 

大幅な路線変更を余儀なくされ、作風は、コミカルになっていくと同時に、初期の方向性が開花し、オシャレな泥棒物へと変化した。

 

ストーリーも含め、すべてにおいてわかりやすさを追求したものになる。

 

キャラクター設定も変更され、特に変わったのが、峰不二子。
セクシーなイメージは一掃され、ボイッシュな女性になっている。
個人的に、不二子の設定変更は、微妙。

 

ハードボイルド路線も捨てがたいですが、宮崎・高畑コンビの後半が好きです。
その為、『カリ城』のルパンは、第一シリーズのルパンであって、原作とは別物です。

義賊ぽいところ

『カリ城』でルパンは結局、何も盗んでいない。
やったことは、過去に重傷を負ったルパンの介抱をしたクラリスのことを覚えていて、幽閉されている彼女を救うという義賊的な側面が納得いかないから。

 

偽札と見抜けないで盗んでしまった今回の失敗と、過去におかした失敗のプライドを取り戻す話。

 

冒頭で、車から大量に札束を捨てますよね。
これは、泥棒であるルパンが、プライドを傷ついたからです。

 

泥棒を否定したのではなく、むしろ、肯定している。
この時点で、宮崎監督は泥棒でないルパンを描くと宣言しているとも取れます。

 

これに納得するかどうかで、見方が変ります。
偽札を使うようなセコイ事をするのは、ルパンの主義じゃないですからね。

まとめ

鑑賞後の満足感が高い。
ルパンとクラリスの恋にドキドキし、銭形警部がクラリスに最後に言った名セリフにホロッとさせる。
これぞ、エンターテインメントの王道です。

 

『ナウシカ』や『ラピュタ』にせよ、宮崎監督の構成力には、徹底して作りこむ完璧主義を超えた天才性を感じます。

 

主人公に魅力があり、感情移入しやすいことが、宮崎アニメの素晴らしいところです。
これを超えるルパンは、まず、無理でしょ。

 

時代を超えて愛される名作。
本作品は間違いなくその一つだと思います

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