山田洋次監督の傑作『遥かなる山の呼び声』ネタバレ感想




ネタバレ含みますのでご注意ください。
やはり名作。

 

北海道の自然がまた美しい。
吉岡秀隆が出演していることから、『北の国から』を彷彿してしまう。

 

不器用だけど、寡黙で硬派な健さんは、相変わらずカッコイイ。
夫を亡くし、女手ひとつで酪農を切り盛りしている倍賞千恵子の笑顔は気高さを感じる。

 

そんな二人が互いに心を通わせ、少しずつ打ち解けていくさまは、昭和のラブストーリーそのものです。

 

別に派手なCG処理もいらない。
ただ、人間の揺れ動く心情と機敏が伝わる表現力と演出があればいい。

 

ラストシーンで見せる倍賞千恵子の美しい笑顔と健さんの涙は、男泣きしますよ。
山田監督の凄さを再確認できる素晴らしい作品です。

 

そんな『遥かなる山の呼び声』あらすじと感想をご紹介します。

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『遥かなる山の呼び声』あらすじ

予告動画はこちらになります。 ↓ ↓ ↓ ↓


北海道・中漂津で、女手一つで小学生の子供を育てながら酪農を営む風見民子(倍賞千恵子)の元に、ある春の雨の夜、一人の男(高倉健)がやって来て、道に迷ったから止めてほしいという。

 

この男は、田島耕作という。
田島は、納屋に泊めてもらい、深夜に突然始まった牛のお産を手伝う。

 

翌朝、田島は民子に礼を言って立ち去るが、民子は息子・武志(吉岡秀隆)に礼金を持たせ、田島が受け取り、その際、父親を亡くしたことを知る。

 

夏になり、また田島が訪ねて来て、自分を雇ってほしいと民子に頼み、雇ってもらうことになる。

 

民子は、田島に対し警戒心を持っていた。
ある日、民子にしつこく言い寄る虻田太郎(ハナ肇)を目撃した田島は追い返すが、弟二人を引き連れて仕返しにきた。

 

武志が見ていることから、場所を変え虻田兄弟相手に応戦し、三人はあっけなくやられてしまう。

 

手打ちをして、虻田は、田島を慕うようになる。
民子は酪農の作業中に腰を痛めて入院することになる。

 

その間、黙々とよく働いてくれたし、武志も田島に懐いている姿をとおして、民子は次第に好意を寄せるようになる。

 

田島の方も兄の駿一郎(鈴木瑞穂)との再会で、今の場所で長く暮らしたいことを打ち明け、民子に対する想いが湧いていた。

 

しかし、秋の草競馬で優勝したその日、警察が身辺調査をし、捜査が伸びていることを知った田島は、民子の元から去る決意をする。

 

彼女にすべてを打ち明ける。
田島は犯罪をおかして、逃亡中なのだ。

 

サラ金にお金を借りて行き詰まり自殺した妻の葬式で、そのサラ金業者から心無いことを言われ、カッとなり殴り殺してしまったのである。

 

翌朝、パトカーがやって来て、田島は民子と武志の元から去っていく。
そして冬。

 

裁判で、田島に2年以上4年以下の刑が確定する。
網走刑務所へ護送されていく列車に、民子が乗ってくる。

 

しかし、二人は会話をするわけにはいかない。
そこに、虻田がやって来て、田島に聞こえるように、民子の近況と田島を待つ気持ちでいる事を他人事のように話して伝える。

 

目を泣きはらした田島を見て、民子は黄色いハンカチを手渡した。

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『遥かなる山の呼び声』感想①:山田監督

高倉健と倍賞千恵子の組合せは、ホントに絶妙だと改めて思う。
山田監督の配役の選び方は見事だし、脚本家としての力量も日本映画の中で一歩抜きんでている。

 

隙なく計算された画面構成と展開は、見る者が予感するストーリーとの緊張感と安堵感を見事に絡ませている。

 

ラストの網走刑務所へ護送される列車内のシーンは、泣ける。
ハナ肇の胸をつくセリフ、健さんと倍賞千恵子がまたいい雰囲気を醸し出す。

 

いかにも「映画の為だけに酪農を取り上げました」みたいな安易な設定ではなく、北海道の酪農について、その実情などをかなりドキュメンタリー的に描き、自然と一帯したカメラワークで作品をより鮮明にさせている。

 

最後に、倍賞千恵子が健さんに黄色いハンカチを手渡すシーンの心憎い演出に脱帽。

『遥かなる山の呼び声』感想②:高倉健

健さんはいい意味で、不器用だけど男気があり、まさに昭和の男です。
本作においても寡黙で、ストイックなところが男らしい。

 

言いたいことは、言葉ではなく、すべて背中で語っているようだ。
男らしさとは何か?この映画を見れば、すべてがわかる。

 

主人公・田島耕作は、過去の経緯がミステリアス、真面目でたくましく、頼りがいがある、まさに、世間がイメージしている高倉健を上手に捉え、実に気持ちの良い清々しいキャラクターとして描いています。

 

今作で特に注目すべき場面は、健さんの乗馬のシーン。
設定通り、本当に年老いた馬を西部劇さながらにかっこよく乗りこなしている。
私は、個人的に日本映画史上最高の乗馬シーンだと思います。

『遥かなる山の呼び声』感想③:倍賞千恵子

健さんとハナ肇、二人の男に慕われる倍賞千恵子が可憐で美しい。
倍賞千恵子演じる民子は、女手ひとつで酪農経営に邁進するが、生活は一向に楽にならない。

 

心身共に擦り減らすばかりだが、健さんが現れてから、少しずつ生活が好転し、彼がなくてはならない存在となり、想いを寄せる。

 

健さんを追う警察の影が周辺にちらつき始め、断腸の思いで別れを決めかけていた健さんの微妙な心境を感じ取った彼女の行動は、感極まって健さんに抱きつき「いかないで、私さびしい」と泣きつく。

 

どんな辛い事にも耐え抜いた民子が、この一瞬だけ見せた女の”弱さ”にシーンにグッときた。
何とも儚く、民子が愛おしく感じた。

『遥かなる山の呼び声』感想④:ハナ肇

ウザいオヤジ・虻田太郎を演じたハナ肇がとにかくいい。
押しとアクが強く、それにちょっと臭い演技。

 

それが、健さんの渋さをより引き立たせている。
名優ですよ、ほんとに。

 

この虻田は、地元で顔が利く男で、民子に惚の字だったため、田島とひと悶着するが、男気に惚れて慕うようになる。

 

映画のラストシーン、主役でなく脇役の演技で、これほど泣かせた作品は、私が見てきた中では例がないです。

 

それは、健さん・倍賞千恵子も凌駕するほどの珠玉の名演。
ある意味、想像していなかったので、ドンデン返しといっても良い位に凄い。

 

この芝居が余りにも素晴らしいので、『遥かなる山の呼び声』は、このシーンのために作られたんじゃないかと思ってしまうほど。

 

人情の厚み、愛の尊さ、信頼と絆の美しさを見事に表現して、もう涙腺がとまらない。

まとめ

この頃の健さんのなんと魅力的なことか。
任侠映画のイメージが強い健さんに、あえてこういう映画に起用した山田監督の眼力はさすがである。

 

この『遥かなる山の呼び声』は、高倉健の魅力が前面に出た作品になっています。

 

『無骨で無口で不器用』という、他の作品においても一貫として変わらないキャラクターを山田監督が嫌味なく味付けをして、人の心の揺れ動きを見事なまでに表現した。

 

山田監督の中でも傑作の一つだと思います。
『幸せの黄色いハンカチ』より知名度がないのが残念でしかたありません。

 

これの後にぜひ『幸福の黄色いハンカチ』を見て下さい!
『遥かなる山の呼び声』のその後にあたるのが「幸福の黄色いハンカチ」だからです。
一人でも多くの人に見ていただきたい邦画です。

『遙かなる山の呼び声』が観れる動画配信サービス

『遙かなる山の呼び声』が観れる動画配信サービスを表にしてまとめましたので、参考にしてみてください。

動画配信サービス 料金 お試し期間 公式サイト
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