尾道三部作の決定版『時をかける少女』あらすじとネタバレ感想




ネタバレ含みますのでご注意下さい。
『時かけ』といえば、細田監督のアニメ版・映画やドラマと様々なバージョンがあるけど、私にとってはやはり、原田知世の「時かけ」であり、もう何人も動かせない不動の作品であります。

 

『転校生』から始まる尾道三部作のひとつで、ノスタルジックな尾道の街並みが、ストーリーと抜群の相性もあって、独特の叙情的で、どこかせつなくも限りなく美しい映像世界に引き込まれてしまう。

 

何度見ても、世代を超えて、しみじみと感動させられる。
そんな『時をかける少女』のあらすじと感想をご紹介します。

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『時をかける少女』あらすじ

ある土曜日の放課後、芳掃除当番である芳山和子(原田知世)は実験室で物音を聞きつける。

 

入ると床に落ちたフラスコの液体が白い煙を立てていて、彼女はラベンダーの香りをかいで気を失う。

 

和子は自分を保健室に運んでくれた堀川吾郎(尾美としのり)と深町一夫(高柳良一)と共に実験室に戻り、様子を伺うが部屋は何事も無かったかのように整然としている。

 

それ以来、和子は奇妙な体験をするようになる。
ある夜、大きな地震が起き、外へ避難した和子。

 

吾郎の家が燃えているように見え、家族の反対を押し切って、様子を見に行く。
そこに、深町も来ていることを見つける。

 

火事はボヤですみ、和子は一夫と一緒に帰った。
翌朝、登校中に吾郎と会い、昨夜の地震について話していたところ突然、お寺の屋根瓦が落ちてくる。

 

気が付くと再び和子は部屋のベッドにいた。
和子は吾朗に昨夜の地震について話をするが、吾朗はそれを知らない。

 

昨日の帰り道、植物採集で学校を休むと言った深町も投稿していた。
そして始まった授業は、昨日と全く同じ内容だった。

 

和子は訳が分からなくなり、一人悩む。
その日の夜も地震と火事騒ぎがあった。

 

和子はこれらの奇妙な体験を一夫に相談するが、論理づけながら説明を受けるが、どうも納得のいかない和子は、タイプリープをはかる為に、一夫の家の温室でラベンダーの香りをかぎ、再び気を失う。

 

気がつくと一夫が植物取集をしている海岸の岸にいた。
和子はタイプリープをするきっかけとなった土曜日の実験室に戻りたいと言う。
時を駆け抜けた和子は土曜日の実験室にいた。

 

物音が聞こえる部屋のドアを開けるとそこには、一夫がいて、自分が2660年からきた未来人で、人口増加により必要な植物を入手する目的で、この時代にきたことを告げる。

 

一夫との思い出は彼の都合のいい記憶を持たせていたことを告白されるが、動揺する和子。

 

一夫は未来に戻ることを和子に告げるが、一緒に未来に行きたいと言うが、説得されて、ラベンダーの香りをかがされて床に倒れる。

 

一夫に関する記憶を消されていた和子は、11年後、勤め先の大学に偶然きた一夫に場所を訪ねられすれ違う。

『時をかける少女』感想①:原田知世

この映画は、原田知世抜きには語ることが出来ない
確かに、演技が素人臭かろうといいものはいい。

 

いやむしろ素人臭いからこそ逆に、初々しさが滲み出ている。
初めての主演映画で、まさに時を彷徨い、手探りながら成長していく原田知世のドキュメントを見る感じ。

『時かけ』新バージョンの曲はこちら ↓ ↓ ↓ ↓

『時をかける少女』感想②:大林監督

『時かけ』のみどころのひとつに大林監督の映像トリック。
スキー場のモノクロから電車の中に変わり、徐々に色のついていくオープニングは大林作品ならではの演出。

 

紙芝居やスライドのように映像を次々に細切れにしてタイムリープを表現し、CGでは決して表現することが出来ない幻想的ともいえる映像。

 

日本映画における「映像の魔術師」といわれただけあって、大林監督の力を見せつけるシーンが満載。

 

大林監督特有の尾道の街並みをより美しく表現し、なんというか他の映画では絶対に味わえない空気が充満しています。

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『時をかける少女』感想③:深町一夫

深町君を演じた高柳良一の雰囲気がいいです。
この人も演技が素人ぽいので、原田知世と噛み合っている。

 

最近の青春映画に出てくる爽やかなイケメン俳優にはない、少し暗めで冴えない雰囲気が、イマドキの文化系男子の琴線にも触れるんじゃないかな。

 

ラスト二人が再び出会って、深町君が和子に場所を訪ねた時、彼の表情から見て、記憶は消さずに済んだように感じる。

 

和子の方も吾郎とのデートの誘いを断るようだから、心の片隅にどうやら覚えているみたいだね。

『時をかける少女』感想④:設定

尾道の瓦屋根や、石畳の階段などが続く古びた街並み。
当たり前のように男子生徒が紳士的で、女子生徒を優しく丁寧に扱う雰囲気。

 

ブラウスのボタンを上まできちんと留め、カーディガンを羽織った和子が、うつむき加減にたたずむ姿。

 

深町君が、夜の小道を歩きながらマントのような着物で和子の肩を包む。
ラベンダーがある温室で、二人が歌うのは童謡「桃栗3年」の歌。

 

これらを見て気づいた事が、まるで旧制中学の学生そのもの。
実は、大正や昭和初期を舞台にした映画を見ていたのではないか。

 

つまり、映画自体がタイムリープを施していたのかな。
公開された昭和58年の世相をあえて封印したことが、「時」を超える魅力が備わることになったと思う。

『時をかける少女』感想⑤:作品のテーマ

エンディングの主題歌シーンは、出演者が映画の中と同じシーンで歌を歌ったり、踊ったりアイドル映画だから最後は明るく締めたのだと、今まで思っていた。
しかし、改めて見ると作品のテーマが語られていたんですね。

 

和子と深町君が大学の廊下で再会した時、それが再会とお互いに気付くことが出来ない究極の別れ。(死)
そこから、二人が出会う場面まで遡って、今度は笑顔で。(再生)

 

私も人生を振り返る年齢になって、監督の温かいまなざしが少しだけ理解出来る様になったからか。

 

和子は常に、「過去」に向かって時をかけています。
人生をやり直したい。
誰もが持っている願望。

 

現実にかなうことができないからこそ、このエンディングが代りとなって満たしてくれたのだと、今は思えます。

 

エンドロールの終わりに入る「拍手」が、最後の最後で「波」の音に変わるのですね。
「波」といえば、『時かけ』で使われるタイムリープの表現手法。

 

本編とは違って、はじける様な笑顔で向かう先はなんと、深町君ではなく吾朗の家!
実験室で倒れて汚れた顔を拭いたハンカチを返しにいき、ひどく元気の無かった表情で帰る場面と同じ衣装です。

 

これは、彼女にとっての、もうひとつの時間軸。
これは、「時間は過ぎていくものではなく、やってくるもの」と大林監督からのメッセージなのかと考える。


出典:https://www.pinterest.jp/shoumei7270/原田知世/?lp=true

まとめ

10数年ぶりに鑑賞。
今見ても色褪せることなく新鮮。

 

当時は薬師丸ひろ子が休業からの復帰作として制作された『探偵物語』の方がメインで、『時かけ』は、印象が薄かった。

 

でも、何度も映像化されていることから、作品としては、『時かけ』の方が認知度は高いです。

 

やはり、この『時かけ』は舞台が尾道であることが大きな役割を果たしている。
他の『転校生』や『さびしんぼう』では、海が出てくることが多いけど、この映画では殆ど出てこない。

 

『時かけ』では、尾道の「山側」が舞台となっている。
特に深町君の家や竹藪の小道。

 

このあたり、『転校生』や『さびしんぼう』とちょっと違った雰囲気に仕上がっている。
なつかしき昭和の香りが漂い、ゆったりとした展開の中に、時を超えた愛が流れているのを感じる。

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